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FAQ.「お弁当を冷蔵保存?保冷管理?」温度帯と食中毒

冷蔵保存用食品は別の許可が必要

飲食店のテイクアウト調理の注意点チラシの「常温でおかない」を「冷蔵保存する」に言い換えて良いか聞かれますが、言い換えることができません。

「冷蔵(0~5℃)保存」が表現としてすすめられない理由は、冷蔵用にお弁当や商品をつくる場合は「冷凍または冷蔵食品製造業」とその販売業の許可が必要になるからです。温度帯もポイントですが、「保存」も長期前提となり、上記の許可が必要になります。

飲食店のテイクアウトでは、お弁当・テイクアウト商品は「保冷(10~13℃)」します。具体的には、

空調のきいた部屋におく(保管)
日陰の保冷ケースでおく(保管)

などの方法をとります。もともと飲食店のテイクアウト(持ち帰り)が認められる範囲は出前、また店内でできた料理の持ち帰りが原点ですから、注文の都度盛り付けて提供することがほとんどでした。ラーメンやそばの出前を考えていただければわかりやすいでしょう。

これに対して、お弁当や盛合せなど複数の料理を盛り合わせた商品は、食中毒対策を考えると菌数的にはリスクが高い。温かいままふたをすると結露した水分で菌が増える可能性も高いため、事前に菌の増えない温度帯まで冷まして容器に盛り付けるのです。そして上記のように「保冷」します。

**屋外や直射日光に当たる場所におくと温度が上昇して、すぐに食中毒菌の好む状態(温度が高い、水分がある、栄養がある)状態になり、もっとも危険です。

保冷温度帯(10〜13℃)は冷蔵温度帯(0〜5℃)より高いですから、菌は時間がたてば増殖します。実際には保冷ケースなどの用意がなく冷蔵庫で一時的に保管している例も多いかと思われます。その場合は菌数の増殖スピードがやや緩やかになります。(低温で増える菌もありますからご注意ください)

保冷剤や保冷バッグで持ち帰りを

いずれにしろ調理から喫食までの時間を短くする必要があります。また、保冷剤を提供し、お客様は持ち帰るまでの温度管理として保冷バッグを持参されたほうがいいでしょう。そして持ち帰ったら、すぐに食べてください。

室温に置いた卵焼きの細菌数は7時間で730倍に増加したのに比べ、保冷バッグに入れた卵焼きの細菌数は1.2倍の増加に抑えることができました。サラダの細菌数は室温で83倍に増加したのに比べ、保冷バッグでは1.5倍の増加に抑えられました。ご飯も同様の傾向で、室温で1400倍の増加に対し、保冷バッグでは1.5倍の増加と大きく抑えられました。このように、保冷バッグに入れた場合の細菌数にはわずかな増加しか見られず、室温に置くよりもはるかに細菌の増殖を抑えることが確認されました。

エフシージー総合研究所|夏場のお弁当を安全に -保冷バッグの活用-

上のリンクは保冷バッグ活用の場合の細菌数の変化を検証しています。

また、内閣府食品安全委員会は5月14日に自らのFacebookアカウントから発信しました。

〇 料理等を配送する事業者の方へ
・保冷剤や保冷ボックスを用いて温度管理に注意して、できるだけ短い時間で配送してください。
・「非対面受取」や「置き配」の場合は、注文した方に、料理等を届けたことを連絡してください。
・テイクアウト弁当を販売する際にも保冷材や保冷ボックスを用いて温度管理に注意しましょう。特に、直射日光が当たる場所に弁当を置いたままの販売は食中毒のリスクが高くなります。

〇 注文した方へ
・受け取った料理等をできるだけ早く食べてください。すぐに食べることができない場合は、冷蔵庫などなるべく涼しいところに保管してください。
・「非対面受取」や「置き配」を利用した場合は、料理等を屋外に放置しないようにしてください。

内閣府 食品安全委員会 Facebook アカウントから発信2020年5月14日

今回の新型コロナ禍によって起こった特殊事情での飲食店のテイクアウト・デリバリーを考慮し、「非対面受取」「置き配」などにも言及して注意を呼びかけています。添付されている温度と菌数の相対グラフは2016年に同委員会熊谷進委員長様名で作成された「役に立つ食中毒の知識」に見ることができます。こちらの資料も参考になります。

何時間後に食中毒の危険?

温度帯と食中毒菌の増殖スピードの関係については静岡県にある静環検査センターの資料に詳しく記載されています。

多くの食中毒菌が食中毒発症菌量とい われる約10万個に数時間程度で達します(表1)。例えば、腸炎ビブリオの世代時間 は約10分と最速で、初発1個の細菌が4 時間程度で発症菌量なります。もし、刺し身などに初発1,000個程度付着していれば、 1時間後には食中毒の危険域に到達する ため、取扱いには要注意です。

(株)静環検査センター|生活衛生ニュース2016April

腸炎ビブリオは魚介類に付着する菌で、初発から1時間で食中毒の危険域です。「初発」がいつか?は問題です。水揚げ時から付着している可能性もあります。腸炎ビブリオは好塩性細菌で、塩分に強く真水に弱いため、お魚は真水の流水で5分間以上洗いますが(水道水より純水が効果が高い)、その時に落とし切れていない可能性もあります。

腸炎ビブリオは低温保存によって減少します。

魚介類を 1~5°Cで冷蔵した場合、腸炎ビブリオは 1 日で当初菌数の1/10~1/10,000 に減少し、7°Cでの保存でも 1 日で 1/10 ほどには減少する(参照 24)。 また、凍結保存では、1 日で当初菌数の 1/10~1/100 に減少する

食品安全委員会|食品健康影響評価のためのリスクプロファイル~ 生鮮魚介類における腸炎ビブリオ ~ (改訂版)

「調理/販売から何時間後なら安全」とは言い切れないのです。温度帯が変われば菌が急速に増殖し始めるということは常に念頭においてください。

#STOP食中毒キャンペーンビデオ

料理界の巨匠たちが出演した#STOP食中毒キャンペーンビデオで、神戸北野ホテルの山口浩シェフが「お刺身やレアなお肉、半熟卵、生野菜は入れないでください」と言っています。いずれも食中毒菌の発生源になりやすい「状態」です。すぐに食べていただく飲食店の料理と、調理してから食べてもらうのに時間がかかるテイクアウトの料理では危険度が異なります。調理方法を変える必要があるのです。

お刺身やお寿司が通常いかに水揚げから提供まで冷蔵(冷凍)温度帯できちんと管理され(酢飯でpH管理もされています)飲食店で提供されているかを考えると、プロならば温かいご飯と一緒にお弁当に詰めようと思うはずがないのですが、万が一があってはならないと考え、あえて記載しました。

投稿者

info@anemosu.co.jp